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蒼き疾風 第144話 第一回戦(川中島の戦い) 【シーゲルの歴史小説!】

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蒼き疾風(あおきかぜ) 第144話 第一回戦(川中島の戦い)


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec


↓↓


天文22年(1553年)9月…

越後の長尾景虎は…

甲斐・武田晴信に追われた…村上義清の領土奪還のため…
信濃・川中島に出兵…

武田軍の先方を蹴散らし、荒砥城を落とし、青柳城を攻め…
恐るべき速さで…千曲川を南下し…

今は、塩田城に向けて進軍していた…。



「村上殿…

 塩田城まで奪還できれば…

 武田晴信に奪われた…村上殿の所領の全てに…
 楔を打ち込めたことになりますな…(笑顔)」(長尾景虎)


「恐れ入ります…(喜)

 さすがは…景虎様…
 毘沙門天の生まれ変わりと言うのは…真でございましたな…(驚)

 たった3日で…ここまで成し得るとは…
 この義清…真にもって感服いたしましてございまする…(感服)」(村上義清)


村上義清は…
おせいじやおべっかで言っているのではなく…
これまでの景虎の戦のやり様を観て…
心より感服して言っているのだった…

武田軍と戦っている時は…
あくまでも「信濃村上源氏」としての…
「独立」に執着していた村上義清であったが…

この親子や孫ほどに歳の違う…
若き景虎の「戦の才能」に惚れ…感服すると…

年老いた己を感じたのか…

「この若き天才の景虎になら…従っても良い…」と思いはじめ…

これよりは…「景虎の一家臣」として…
村上家の存続を託しても良い…と考えている…。


「しかし…武田の軍勢…

 我が思うていたより…ずっと…
 歯ごたえのない…軍勢であった…(苦笑)」(長尾景虎)


その言葉を聞いた村上義清は…
可愛くてしかたない孫の顔を見るような笑顔から…
一瞬で、厳しい老将の顔に戻り…


「景虎様…(厳しい表情になって)

 武田晴信が軍勢を…侮ってはなりませぬ…
 先日、春日山城(景虎の居城)で申し上げた通り…
 武田晴信は…慎重で狡猾なやり口の戦をいたします…

 我らが…その時の戦(戦闘)に勝っても…
 戦の後には(領土争いには)負けている…と言うことになるのが…
 武田晴信めの巧妙なやり口でございます…
 決してご油断無きように…(真剣に)」(村上義清)


「ええ…わかっております…(苦笑)

 武田晴信が軍勢(本隊)…この目で観て…対戦するまでは…
 全ては…お遊びのようのなものだと…そう心得ておりますよ…(苦笑)

 さぁ~武田晴信…我の前にその姿…今すぐ現すが良い…(ライバル心)」(長尾景虎)


すると…長尾景虎の後ろに控えていた…宇佐美定満が…
軒猿(越後忍び)の報告を受けて…景虎の側に近寄って来た…


「何か動きがあったか…??(急に苛立つ)」(長尾景虎)

「はい…昨夜、荒砥城の…武田軍が夜襲の件ですが…
 思いのほか…被害が大きく…救援を求めてきておりまする…」(宇佐美定満)

「援軍??
 それは今朝も聞いた…(怒)
 城をあずけて…たった一日も持たぬと言うのか??(怒)

 十分に我が軍勢を残し…
 城のことを良く存じている…村上義清殿の配下の者も残している…
 我も…詳しく指示を与えた上で…城を後にしてこの場にいる…(怒)

 たとえ武田の軍勢が…火のように攻め立てたとしても…
 そう簡単に落とせるものでは無い…(苛立つ)

 我が…今日にでも塩田城を落としてから…救援にまいるゆえ…
 たった1日くらいは…城を死守して待つが良いと…
 きつく申してまいれ…(怒)」(長尾景虎)


「そ…それが…(困)

 我が手の者(軒猿:越後忍び)が申すには…
 思いのほか…被害が大きく…
 城が落ちるのは時間の問題だと…

 さらに…後方(川中島)に…
 武田が軍勢…思いのほか…動き速く…
 続々集まりて…
 我が軍の退路を断うとしております…(困)」(宇佐美定満)


「何っ~!!(怒)」(長尾景虎)


景虎は…
目の前に見える…塩田城を…にらみつけるように…しばらく眺めていると…


「待てよ…

 武田晴信の本隊が…
 諏訪を出て…塩田城に向かっている…というのは…

 どうやら…
 晴信の「影武者」の本隊やも知れぬ…(悩)」(長尾景虎)


「えっ!!(驚)」(村上義清、宇佐美定満)

 
「そうだ…そうに違いない…

 と…すれば…

 昨夜、巧妙に…荒砥城に夜襲をかけ…大きな損害を与えたのは…

 武田晴信自身による采配だったかも知れぬ…

 そうでなければ…合点がいかぬ…(苦笑)」(長尾景虎)


「なんと…(驚)」(村上義清、宇佐美定満)



「武田晴信め…(苦笑)

 大した抵抗が感じられぬし…
 軍勢の集まりも遅いと…思うていたら…

 我らの前に…その姿現さず…
 我らの後ろに…姿現し、軍勢を集まっているとは…(苦笑)」(長尾景虎)


「これこそが…武田晴信め得意の…狡猾なやり口なのです…(苦笑)」(村上義清)


「武田晴信めに…にしてやられたか…(悔しい)

 これでは…塩田城を取ったとて意味が無い…

 我らは…
 すぐにでも引き返し…

 我らの背後で…こそこそと…
 「どぶねずみ」の様に動き回る…

 薄汚い…武田晴信めを…蹴散らさねばならぬ…(苦笑&ライバル心)」(長尾景虎)

 
 
長尾景虎の軍勢は…
一旦、川中島の八幡まで…軍勢を下げ…

陣を張って…武田軍との決戦に備えたが…

肝心の武田軍はと言うと…
守備を固め…城や砦に篭り…まったく動こうとしない…

軍勢を…集めて包囲しているが…
越後への退路は…
「どうぞお帰り下さい」とばかりに…ぽっかりと…空けてある…

これでは…
武田軍からは…「越後と戦うつもりは無い…」と言っているようなものだった…

武田晴信の旗印は…一向に現れないし…
晴信が…どこにいるのか?…それすら知ることが出来ない…


晴信は…
短期決戦のつもりで進軍してきた景虎を見越して…
あくまで決戦を避け…
長期戦に持ち込むつもりなのだ…


そして…
「越後に帰るときには…
 取られたものは…全て置いてゆけ…」とばかりに…
不気味なほど静まりかえる武田軍から…無言の殺気を感じる…

欲をかいて軍勢を城に残して…越後に帰れば…
たちまち奪い返すつもりなのであろう…


9月20日…
景虎は…
やもえず…越後への撤退を決めた…

食料や物資の不足や…
上洛の準備…
敵対する上州の北条軍の動きも気になるし…
これから始まる北条との合戦の準備もある…

奪還を願った…
村上義清への義理も…
結果を差し置いて…
ひとまずは…果たしたことになる…


こうして…
「川中島の戦い」…第一回戦は…

景虎の越後軍が…戦闘では武田軍に圧倒的に勝利したが…

晴信の武田軍が…決戦を避けながらも…
巧妙な駆け引きで…越後軍を追い返したことになり…

双方、「引き分け」という結果に終わった…


「武田晴信めに…
 いいようにやられてしまった…

 速きこと…風のごとし…
 静かなること…林のごとし…
 侵略すること…火のごとし…
 動かざること…山のごとし…か…(苦笑)

 武田…晴信め…
 今度戦うときは…必ず…
 晴信めの…いいようにはさせないぞ…(苦笑&悔しい)」(長尾景虎)


景虎は…唇をかみ締め…
悔しさ一杯で…川中島をあとにした…

景虎は…その姿を見ることが叶わなかった…
晴信の旗印の一つでもある…武田の軍旗の…
「風林火山」の孫子の一文を思い浮かべながら…

武田晴信との再戦を誓っていた…



(つづく)

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